認知症の方と地域をつなぐお手伝いをこれからも
高橋 舞子さん
法人名 社会福祉法人 苗場福祉会
入職年 2006年
ケアマネジャーとして苗場福祉会に入職した高橋さん。現在は認知症介護指導者として認知症ケアの質の向上を目指し、認知症介護の専門職を養成する「認知症介護実践者研修」の講師も務める。
やりたいことを形にできる
それが長く働いてこられた理由
前職は別の法人でケアマネジャーの仕事をやっていて、社会福祉法人 苗場福祉会が3法人目になります。入職して17年。ここが私の勤続年数が一番長い法人になりました。苗場福祉会を知ったのは前職で1年ほど勤めた小さな事業所でした。そこにいらっしゃった50代くらいの職員さんが「ここは50歳、60歳になっても働けるけど、今あなたがいるところではないと思う。ここを受けてきなさい」と言って、新聞に入っていた苗場福祉会のチラシを渡してくださいました。
ちょうど結婚して南魚沼市に嫁ぐ予定だったので、特別養護老人ホーム「こころの杜」に応募したところ、「健康倶楽部かわぐち」(現在は閉所)へ配属。入職して3ヶ月ほど経ったとき、言われるがままに係長研修に参加したところ、「健康倶楽部かわぐち」のケアマネジャー兼管理者を任せていただくことになりました。
他の法人だと、だいたい年功序列で施設長や管理者を決めることも多いでしょう。入職したばかりの人でも管理者を任せてもらえ、やりたいことを形にできる。そんな法人だからこそ、長く続けてこられたのだと思います。
認知症介護への強い思いは
一人の利用者さまとの出会いがきっかけ
私は認知症介護指導者としても活動しており、新潟県から受託した「認知症介護実践者研修」の企画から、講義、演習、実習などを担当。認知症介護の専門員の育成や地域の認知症ケアの質の向上を目指しています。苗場福祉会が「認知症介護実践者研修」を受託する際、指導者育成研修に参加させていただきました。ここで取得した資格を活かして、他の法人や受講者の方々とつながる機会ができたのは良かったです。
私が認知症に対して思い入れがあるのは、最初に働いた特別養護老人ホームにいらっしゃった利用者さまの存在が大きいかもしれません。重度の認知症の方だったのですが、その地域にはグループホームなどがない時代。夜間徘徊や行方不明になってしまったこともありました。今振り返ると、認知症の方への適切なケアができていなかったのでしょう。そのときのことを思い出すと涙が出てしまうのですが…。利用者さまにこの方と同じ思いをさせたくないという気持ちが、今の私の活動につながっているのだと思います。
認知症の方と地域をつなぐ活動に
これからも力を入れていきたい
苗場福祉会に入職して17年ですが、まだまだやりたいことがたくさんあります。まず、新潟市中央区エリアで認知症高齢者の探索訓練をやりたいですね。認知症のAさんが行方不明になったという設定で、Aさん役の方が電車やバスに乗って移動したり、山の中へ逃げ込んだりします。私たちは、さまざまなネットワークを駆使してAさんを探し出すというもの。こうした訓練を湯沢町や六日町でやっていました。日頃から探索訓練を行い、認知症の方が安心して外出できる地域づくりを目指します。
あとは認知症カフェの開設。認知症カフェとは、認知症の方やそのご家族、地域の方が集まって交流できる場所です。特別養護老人ホーム「くりの木」では、認知症カフェを月に1回開設しています。コロナ禍が落ち着いたら、月1回ではなく日常的に開設するなど、地域とつながる地域支援に力を入れて行けたらいいなと思います。
(本インタビューは2023年2月に実施した内容です)